日替わりケーキとおしゃべりタイム
ガチャッ

「お二人さん、かき氷食べる?」

扉が開いて、エプロン姿の直樹が顔を出した。

かき氷?

「食べる!」

直樹の作る特製かき氷は、普通のシロップとは全然違くて、特製の果実たっぷりのシロップ。

「井上くんは?」

「あっ、俺、甘いの苦手で…」

「了解」

直樹はにっこり笑うと、すぐに厨房へと戻っていった。

しばらくして、大きな音とほぼ同時に、綺麗な花火が花開いた。

「すごいね」

「うん。それに、ここからはっきり見えるんだな」

井上くんの横顔は花火に照らされていて、すごく綺麗でかっこよくて、私の心臓の鼓動が速くなる。

「…そんなに見られると、照れる」

「あっ、ごめん」

慌てて視線をそらすと、井上くんの大きな手が、私の後頭部に触れた。

そして、ゆっくりと唇が重なり、私の耳には花火の打ち上げられる大きな音だけが届く。

「…飛鳥ってさ、隙ありすぎ」

「そ、そんなこと言ったって、井上くんが…」

慌ててそう言うと、井上くんはくくくっと悪戯っぽく笑った。

もう…。

きっと暗闇じゃなかったら、私の顔は真っ赤だと思う。

ガチャ

「お待たせ。特製パイナップルかき氷」

直樹の手には、黄色い、見るからに濃厚そうなシロップと、パイナップルの果実が散りばめられたかき氷。

「わぁ…美味しそう」

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