日替わりケーキとおしゃべりタイム
「すごいな」

井上くんも、感心した様子で呟く。

「そう?ちなみに、井上くんはこれね」

直樹は、私にかき氷を持たせると、エプロンの大きなポケットから、お洒落な瓶ビールとグラスを取り出して井上くんに渡した。

「いいの?」

驚いた様子で、井上くんは直樹を見る。

「うん。いい感じに冷えてるよ」

ニコッと眩しいくらいの笑顔を見せると、井上くんにグラスを持たせて、栓抜きでビールの蓋を開けた直樹。そのままグラスへとビールを注いだ。

ゴクゴクっと、美味しそうにビールを飲む井上くんを見て、直樹は再び笑顔を見せる。

「井上くんってイケメンだね」

えっ?

「いや、円堂さんには敵わないから」

「ふふっ。そう?」

ハイスペックな2人の会話が繰り広げられ、なんだか私は不思議な気持ちになっていく。

「そういえば、りっちゃんとそっくりだよね」

「あー、よく言われる。並んでると、ちゃんと兄弟に見えるみたい」

〝ちゃんと〟の言葉に、安堵の気持ちと複雑な気持ちが入り混じっている気がして、井上くんの表情を伺う。

「あー、特に深い意味はないから」

私の視線に気がつき、優しく私の頭をぽんぽん撫でる井上くん。


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