【大幅改訂版】女王蜂〜魔女になってしまった花嫁さん
第16話
10月26日のことであった。

ウェディングドレスを着ている姿のアタシを見たい…

晴れの日にウェディングドレスを着ているアタシと一緒にチャペルのヴァージンロードを歩きたい…

煮えきらない表情を浮かべていた父は、家の貯金通帳を勝手に持ち出した。

貯金通帳に入っていた金銭を全額引き出した父は、ウェディングドレスとブライダル関連の品々を買いあさった。

それにより、家族間でトラブルが発生した。

母と次兄夫婦の家族は、家の貯金通帳を使って全額を引き出した父親を強烈な口調で言いまくった。

完膚なきまでにたたきのめされた父は、孤立無援におちいった。

その時、父に虫の知らせが届いた。

10月29日に父のオイゴ(暴走族)がバイク事故で亡くなったと言う知らせが入った。

11月3日に告別式をJAの葬祭会館で執り行うと言う知らせが家に入った。

父は『喪が明けるまでしほこのお見合いを見合わるなんてできん!!』と怒って反発した。

本家の人間は『言うことを聞け!!』と父を怒鳴りつけた。

父は、仕方なくオイゴの告別式に出席することになった。

そして、11月3日…

血戦《けっせん》の日がやって来た。

この日、母と次兄夫婦の家族は告別式をボイコットして、どこかへ遊びに行った。

父は、迎えのマイクロバスに乗って、親族たちと一緒に天保山町《てんぽうざん》にある葬祭会館へ向かった。

悲劇は、家を出てから5分後に発生した。

この時、葬祭会館のマイクロバスを運転していた男性が給に発狂した。

(キキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキ!!グォーン!!グォーン!!)

マイクロバスが突然暴走を始めた。

男は、家出をしていたしほこの長兄であった。

マイクロバスは、産業道路の反対側の車線をギャクソウしていた。

ちょうどその時であった。

付近を通りかかった愛媛県警《けんけい》の平成元年製のスカイラインのパトカー10台と三菱デボネアの黒パトカー20台が暴走しているマイクロバスを発見した。

(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…)

合計30台のパトカーがけたたましいサイレンを鳴らしながら追跡を始めた。

『暴走しているマイクロバス!!停まれ!!』

この時、先頭を走っていたパトカーに乗っている警察官が、助手席の足元に置かれていたマシンガンを手にした。

その後、暴走しているマイクロバスに向けてイカク発砲した。

(ズダダダダダダダダ!!ズダダダダダダダダ!!キー!!ズダダダダダダダダ!!ズダダダダダダダダ!!キキキキキキ!!)

マイクロバスは、パトカーの追跡を振りきって今治市内《しない》へ向かった。

マイクロバスは、城東橋を越えたあとダイナム(パチンコ店)の駐車場を暴走した。

その後、マルナカ松本町店の駐車場~東芝今治事業所の敷地~旭町の大通りを暴走して、ユニクロ今治店・レディ薬局の駐車場を暴走して、マンションの敷地のバリケードを突破して駐車場内を暴走~今治中央消防署の敷地と今治国際ホテルの駐車場を暴走~一方通行を無視して大通りに出たあと、今治警察署の敷地を暴走~今治地方局の敷地を暴走~そして、ドンドビから本町のアーケードを暴走して、波方方面へ向かった。

その間に、多数の負傷者が続出していた。

また、その間に少なくとも30件の自損事故が発生した。

キチガイになった運転手は、奇声をあげながら暴走を続けた。

悲劇は、鐘場町《かねばちょう》の国道317号線で発生した。

(ブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーンブーン…)

この時、暴走しているマイクロバスの上に9999兆9999億9999万9999匹のスズメバチの大群が飛んでいた。

次の瞬間…

(ブーーーーーン!!)

暴走しているマイクロバスのフロント部分の前をスズメバチの大群たちが素早く通り過ぎた。

(キキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキ!!ドスン!!ガチャーン!!)

暴走していたマイクロバスが近くにあった水銀灯のポールに衝突して止まった。

そして次の瞬間…

(ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!)

9999兆9999億9999万9999匹のスズメバチの大群がマイクロバスに向かってきた。

「なんだよ~」
「なにがあったのだよ〜」
「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

この時、父の実家の親類縁者たちの女性と子どもたちが恐ろしい悲鳴をあげた。

(ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!)

9999兆9999億9999万9999匹のスズメバチの大群がバスの中に一斉に突入した。

スズメバチの大群は、父の親類縁者たちを次々と攻撃した。

「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「おかーさーん!!おとーさーん!!」
「助けて!!」

父の親類縁者たちは、スズメバチの大群に覆われたあと次々と殺された。

この時、恐ろしいスズメバチの女王さまが現れた。

恐ろしいスズメバチの女王さまは、車内から逃げ出した父をドスで刺して殺した。

「グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

その後、スズメバチの女王さまは現場から立ち去った。

父と父の親類縁者たち全員は、スズメバチの大群による攻撃で刺されたあと死亡した。

アタシは…

女王蜂…

アタシ…

女王蜂…

恐ろしいスズメバチの女王…

アタシは…

白いウェディングドレスを着ることが…

できません…

残りの68年を…

スズメバチの女王として…

生きます…

【第一部・おわり】
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