【大幅改訂版】女王蜂〜魔女になってしまった花嫁さん
第20話
あいつが懲戒免職処分を喰らう危機にひんしたこととあいつの長男が引きこもりがちになった…で、あいつの家庭は崩壊の一歩手前の状態におちいった。

その上に、さらに深刻な問題が家庭内にあった。

ひとつは、義妹のお見合いがまとまらない問題である。

義妹はこれまでに300回お見合いをしたけど、全部断られてばかりいた。

断られる原因は、義父母にあった。

義父母は、先方さんが求めている条件が違うことに対して腹を立てていた。

義父母がお見合いの席で先方さんに暴力をふるうようになったので、仲人さん夫婦はお手上げ状態であった。

30歳になれば結婚相手の条件が悪くな…

早いうちに結婚してほしい…

孫の顔が見たい…

義父母は、義妹に対して『急いでいるのだよ!!』と言うてせかした。

それが原因で、義妹は結婚に向かなくなった。

この時、義妹にお見合いが来なくなった。

だから義妹は、女の幸せを完全にあきらめた。

そしてもうひとつの問題は、義弟の今後の人生設計であった。

義弟は、職場がある水島中通り(倉敷市)までJRと水島臨海鉄道の電車を乗り継いで毎日休まずに通勤していた。

安いお給料に文句ひとつも言わずに働いていたのに、お給料が上がらない…

恋人を作って結婚して家庭を持ちたい…

けれど、義父母のためにすべてガマンをしているからできない…

これから5年後の人生をどのようにして行けばよいのか分からない…

義弟とが現在勤務している工場では、1月20日に二人の男性従業員さんが恋人さんと婚約した。

この時点で未婚は義弟だけになった。

工場長さんの平塚さんは、義弟が心配になったので、何とかしてあげたいと思った。

1月25日の昼ごろであった。

場所は、義弟が勤務している工場の休憩室にて…

みんながお昼のお弁当を食べている時に、工場長さんの平塚さんが義弟の元にやって来た。

「よしあきさん…」
「何ですか…」
「あれ、よしあきさん…お弁当は?」
「お弁当、いらん!!」
「どうしてお弁当を食べないのかな…」
「ふざけんなよ!!」
「今日の午後に受注がたくさん入るのから、お弁当を食べたらァ?」

平塚さんは、青いキャリーの中に残っていたお弁当箱を出したあと、義弟に差し出した。

「よしあきさん…お弁当を食べなさい!!」
「命令口調で言うなよ!!」
「お腹がすくから食べろと言っているのだ!!」

平塚さんは、怒った表情で『座るぞ!!』と言うたあと、義弟の向かい側に座った。

平塚さんは、出前のお重のふたをあけたあと、大きな口をあけてうなぎを食べながら義弟に言うた。

「よしあきさん…話があるけど…」
「あとにしろ!!」
「それじゃあ、いつになったら話しを聞いてくれるのかなぁ?」
「あとにしろと言うたらあとにしろ!!」
「今のうちに話しておかないといけないから聞いてくれと言ってるのだよ」
「あんたのざれごとなんか聞きたくもないのねえよ!!ずっと前に結婚のことで何とかしてあげたいと言うておいて、なにもしなかったじゃねえかよ!!そのうちそのうちそのうちそのうちそのうち…あんたはどこのどこまでクソバカなんだか…」
「私のことをクソバカ呼ばわりせんといてくれるかな…」
「はぐいたらしいんだよナマケモノ!!」
「なまけてなんかいないよ…あの時は工場の決算などがあって…ゆとりがなかったのだよ。」
「ウソつくなイシゴカイ!!」
「よしあきさん…」
「オレは…好きなカノジョを作って結婚がしたかった…だけど何でオレだけはガマンしなさいだ!!理由はなんだ!!」
「悪かったよぉ…よしあきさんにガマンをさせたことについてはあやまるよ…」
「なんでガマンしなさいと言うた!?」
「お給料が少ないから…」
「お給料が少ないから結婚できないと言いたいのか!!」
「お給料が少なかったら、お嫁さんを養えないのだよ。」
「共稼ぎはダメだと言いたいのか!!」
「お嫁さんを働かせたらかわいそうじゃないか。」
「ふざけるなミミズ!!ふみつぶして殺すぞ!!」
「よしあきさん…」
「何やオキアミ!!」
「うちの工場は経営が苦しいのだよ。」
「それはオドレが知人のヤクザに上納金《カネ》をおさめているがらだろから!!」
「よしあきさん…」

平塚さんは、困った声でよしあきに言うた。

「よしあきさん…本当にうちの工場は経営が苦しいのだよ…ケイヒセツヤクなどで苦しいのだよ…信用金庫にユウシの申し込みに行ってはいるけど…審査待ちで、ユウシがおりていないのだよぉ。」
「ウソつくな極悪非道!!」
「よしあきさん…」
「おいチンピラ!!もういいだろ!!話がないのならどけよ!!」
「よしあきさん…話と言うのは今月の始めに男性従業員さんのAさんが婚約したので、結婚がまだの従業員さんはよしあきさんだけになったので…」
「オレに工場をやめろと言うのだな…上等だよ!!オレ、ここをやめようと思っていたのだよ!!」
「やめるじゃないのだよ。」
「いいや!!やめろと言うている!!」
「違うのだよ…事業所を変えるだけだよ…」
「そんなクソたわけた話なんか信用できない!!」
「だから、今よりも少しだけどお給料上がるから話しているのだよ…」
「ふざけるな!!」

(ドカッ!!)

思い切りブチ切れた義弟は、平塚さんを右足でけとばして倒した。

その後、くつのかかとで平塚さんの頭を思い切りふみつけながら怒った声で言うた。

「おい平塚《クソバカ》!!てめえのケツモチは誰や!!てめえのケツモチは誰やといよんのが聞こえんのか!!」
「いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい!!」
「そんな都合のいい事業所が日本国内にあるわけないよ…おい!!オドレの頭をかち割るぞ!!」
「ごめんなさい…言いません言いません…ねぼけたことを言いません…」
「それならオレをクビにしろ!!クビしろ!!」

(ガーン!!)

「あああああああああああああああああ!!」

義弟は、平塚さんの頭を思い切り踏みつけた。

そして、平塚さんの財布の中から8万円を抜き取った。

そして、義弟は平塚さんが着ていたズボンとトランクを脱がして、ズボンとトランクをゴミ箱に棄《す》てた。

その後、義弟は休憩室から出た。

平塚さんは、和木(山口県)にある大手自動車メーカーの下請け会社に転籍することを義弟にすすめた。

カバンひとつで入居できる従業員さんの寮がある…

3食のごはんを作ってくれる人がいて、そうじせんたくをしてくれる人がいる…

お給料が少し増える…

休みの日には、広島市内へ遊びに行くことができる…

福利厚生で、マツダスタジアム(プロ野球)とエディオンスタジアム(Jリーグ)のチケットやコンサートのチケットも従業員割り引きがある…

社内旅行がある…

お給料を天引き貯金してもらえる…

コンカツ支援制度がある…

平塚さんは、義弟にそう説明しようとした。

しかし、平塚さんは義弟から暴行をうけた末に金銭をたかられた〜どぎついチジョクを受けた…

平塚さんは、どうすることもできずに途方に暮れていた。

そこへ、周囲の従業員さんたちが平塚さんのもとにやって来た。

面白半分モードになった従業員さんたちは、ズボンを脱いだあと平塚さんを犯しまくった。

その頃であった。

アタシの乳房《むね》から飛び出した蜂《こども》が、義妹のもとへ向う途中でここへ迷い込んだ。

蜂《アタシのこども》は、休憩室の様子をじっくりと見たあと義妹のもとへ向かった。

ここより、恐ろしい悲劇が本格的に始まった。
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