彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】

 「どうした?」
 
 「奏ちゃん、交代」
 
 そう言って、緑ちゃんが店に出て行く。

 「おい、菜摘どうした?」
 
 私は泣き顔をあげて、お兄ちゃんに言った。
 
 「お兄ちゃん、おめでとう。赤ちゃんのこと、聞いたよ」
 
 「あ?ああ、ありがとう。それで泣いてんのかよ、お前……」
 
 「ううん。お兄ちゃん、私ミツハシフードサービスに就職するね、春から」
 
 「は?」
 
 
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