彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
思いも寄らないことを言われ、また赤くなる。
そういうウブなところもたまらないんだよと俊樹は思う。
「要は、俺がお前の仕事への愛に負ける程度の男ってことだな」
菜摘は驚いた。そんなことを言う人ではないのに、言わせている自分は何様だと思う。
「仕事が俊樹さんより上なんて絶対ない。私だって俊樹さんが好きなのに。信じてもらえないの?」
上目遣いにこちらを見る菜摘を横へ行って抱き寄せる。
口づけてやると、離れてからじっとこちらを見る彼女にまた口づける。
「信じてるよ。だからこそ、俺の気持ちを話したんだろ?そうだ、報告がある。役員室へ上がるが、俺の担当部署に業務部を来期も入れてもらうことにする。だから、お前は業務部の仕事を知ることができるぞ。行き来もできる」
「ホントに?」