彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
 
 「だから、本部長。これはそうじゃなくて、こっちの営業部所属の商品です」

 「あっそ。じゃあ、この案件は君がやれ」

 「は?」

 「君はわかってるんだから、僕が読む必要はない。君から聞いた方が早い。その間に僕はこっちの案件をかたづける。わかったらさっさとやる」

 彼の横顔を見ながらあっけにとられる。

 この人一体何なの?っていうか秘書ってこんなことする?

 はじめてだからよくわかんないけど、私これでいいのかな?

 「ふーん。そりゃ、ちょっと変かもな」

 今日も巧は唐揚げ定食。巧とは新村君のこと。同期なので最近名前で呼ぶようになった。
< 22 / 109 >

この作品をシェア

pagetop