彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】

 書類の中にいるのだろう。顔が見えない……埋もれてるよ。
 
 「どうして、こんなことに?」
 
 疲れた顔をこちらに見せる。
 
 「それはそうだろう。有能な秘書が一週間も俺を放置してお出かけしてる。可哀想な俺は仕事が相変わらずたくさんあるのに、整理整頓する時間も無い」
 
 「はあ……それにしたって」
 
 「そうそう、おめでとう。俺の苦しみも無駄にならなくて良かったよ」
 
 そう言われたら何も言い返せないじゃん。
 
 「本部長のお陰で思う存分仕事ができました。いい提案できました」
 
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