彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】

 就業前に巧へ連絡すると、珍しく少し駅から遠い個室の料理屋を待ち合わせ場所に指定された。

 いつもは近くの居酒屋なんだけど、今日は特別ってことかしら?
 
 実は今日は表彰式もあるからスーツで出社していた。こじゃれた所でもだから大丈夫。

 少しお金を下ろして合流。絶対高い店だと思う。ふたりだと男の巧に全部支払わせるの嫌だから、自分の分を持って行くのだ。

 「いらっしゃいませ」
 
 暖簾をくぐると着物を着た人が迎えてくれた。

 巧の名前を告げると二階へ案内された。

 ふすまを開けると掘りごたつ。

 巧が座っていた。

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