彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
 
 私はびっくりして彼の顔を見た。
 知ってたの?
 
 「ごめんね。巧の好きな人とか刺激したりしてないかな?」
 
 巧は箸を止めると驚いた顔をして固まった。
 
 「どういう意味だそれ?」
 
 私はお刺身を食べる。おいしいこれ。

 「え?だからさ、巧がこの会社で好きな女子社員とかいたら、私がひっついているから勘違いされたりして迷惑してないかなーとか……」

 巧はじーっと私を見ると、ため息をついた。
 
 「どうしてそういう、斜め上の発想になるかね?お前って本当に他人も自分のことも見えてないんだな。仕事はあんなにできるのに。困った奴だよ」

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