彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
 
 「誰が帰れと言った。その袋の中身は俺のものだろう?金だしてやるから入れ」
 
 「何ですか、その物言いは?お金が欲しくてきたわけじゃありません」
 
 「じゃあ、何しに来た?」
 
 「一応、ご飯を作りに来たんですよ。私、これでも料理は得意です。実家が飲食店なので……」
 
 彼は私をじっと見て、頼むとひとこと。
 最初からそう言えばいいのに。可愛くない人だな。
 
 「熱は下がりましたか?」
 
 「今朝は大分下がったが、まだくらくらする」
 
 「汗かいたら、着替えて下さい。洗濯しますから……」
 
 家政婦のように言うと、目を丸くしてこちらを見てる。
 
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