彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
 
 「はいはい、言われたとおりにしましょうね。執務室は相変わらず主がいないからまた元通りですよ。頑張って良くしましょう」
 
 幼稚園の先生のように手を叩いて指図すると、彼は従いはじめた。

 おうどんを煮てあげると嬉しそうに食べている。

 なんか、可愛い。お薬も素直に飲む。着替えて身体も拭かせると脱いだものを洗濯する。

 ついでに夕ご飯も作って冷蔵庫へ入れてあげた。

 「じゃあ、会社行きますね」
 
 寝室を覗くと、手招きする。

 近づいたら、腕を引っ張られる。

 しゃがんでしまった。
 
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