彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】

  巧から朝一で内線がかかってきた。
 
 「おい、昨日どうしたんだよ?朝からいなかったろ?」
 
 「ああ、本部長が具合悪くて看病に行ってたの。夕方から出社しようとしたら秘書室長に早退にしていいって言われたから従っちゃった。何かあった?」
 
 「いや。お前、もう忘れたのか?」
 
 「……あ、そうだった。ごめん。金曜日はごちそうさまでした」
 
 「そうじゃねえよ。ったくもう」
 
 「……ごめん。例の付き合う付き合わないの件は少しお待ちください。いい?」
 
 「わかったよ。お前も大変だな。看病まで秘書はするのか?」
 
 「それはどうでしょう?今回はしょうがなく?」
 
 「わかったよ。じゃあな」
 
 そう言って切れてしまった。

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