彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
 
 「森川さん。秘書は守秘義務があるから、余計なことは他の人に言ってはダメです」
 
 「そうじゃなくて、一般的な秘書業務について聞いたんですよ。そしたら、私のやっていることは秘書業務ではなくて……」
 
 本部長は私を見下ろすと、ふんと鼻を鳴らす。
 
 「森川さん。君はね、僕のための秘書です。僕がいいように君を使うの。君に色々業務をさせているのはそのせいです。他の奴らはそういう能力がないからやらせてないの。胸張っていなさい」
 
 うーん。私が言いたいのはそういうことでないんですけれども。

 「それからね、またたまにご飯作りに来て欲しいな。あの、親子丼うまいね。どうしてあの味になるのかな?あと、チンジャオロースもうまかった。それから……」
 
 「ちょ、ちょっと待ってください。それこそ、秘書業務ではありませんよね?」
 
 口をとがらせてこちらを見ている。子供か!

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