彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
 
 「さすが、業務部エース。君は非常に女子社員から人気があるからね。森川さんは敵だらけだ」
 
 「それを言うなら本部長でしょ?嫌みですか?」
 
 「悪いが、僕は興味のない人には何も感じないんでね。正直、森川さんも最初はいけ好かない娘だと思っていたが、噛めば噛むほどいい味を出す、スルメみたいな娘だよ」
 
 「……それ、本人に言ったら殴られますよ」
 
 「そうだな。そこがいいんだよ。おべっか使ったり絶対しないからね」
 
 「……なるほど。分かってきました、本部長が彼女に固執する理由」
 
 「君だから特別に教えてるんだよ。と言うわけで、彼女の仕事の割り振り表、今月末までに頼みます。内密でね」
 
 「わかりました」
 
 そう言うと、立ち上がって一礼し背中を向けた。
 扉を開けるときに一瞬止まると、振り向いた。
 
 「彼女のこと。俺も本気です。最後まで戦わせてください」
 
 そう言うと、出て行った。
 
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