彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
 
 遊ばれてる?そんなことはない。身体の関係も、キスもない。

 あの、賢い人が秘書で遊ぶなんて絶対無いとわかっている。仕事に差し障るからだ。

 だとすると、本気かもしれない。

 そして、昨日帰り際に「クリスマス一緒にホテルのディナーへ行こう。今までのお礼に奢るよ」と誘われた。

 頷いてしまった。それこそが私の気持ちだろう。そして、その時こそハッキリさせようと決めた。

 「どう、このフレンチ?」
 
 本部長が笑っている。揺れるキャンドル。私にしては可愛いワンピースを着てきた。

 「そうですね。さすがフレンチ。フレンチってソースで味が決まりますけど、どうやっても作れないんですよね」

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