彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
 
 「いざとなれば、他の人に跡継いでもらえばいいよ。ウチの子供とか……」
 
 「ええ!?」
 
 私は驚いて、ガタンと音を立てて立ち上がった。
 
 「緑ちゃん、もしかして……」
 
 「うん。妊娠した。まだ二ヶ月入ったところ。誰にも言ってない」
 
 「嘘。おめでとう。良かったね、って言っていいんだよね?」
 
 「ふふ。さすが菜摘ちゃん。そう、予定外だった。もう少しふたりでいるつもりだったの。それが奏ちゃんの希望だったんだけどね」
 
 「お兄ちゃんには言ってないの?」
 
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