彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
会社勤めは楽しいと言っていたが、よいお相手が見つかればいいなと思っていたのだ。それに反して、菜摘の父親は機嫌が悪い。母が菜摘の交際を匂わせるからだ。
明日からの仕事をどうやっていけばいいのか、まずそれを考えようと自分用のコーヒーを入れて考える。ブレンドも自分好みにしてある内緒のコーヒー。これを飲めば頭が冴えてきっと考えが浮かぶ。
そう思ったのに、思い出すのは彼の仕草。夜のこと。真っ赤になりながら、こんなことではダメと顔を叩く。
つまり、彼はどこぞの御曹司でさらに身分違いが大きくなったうえ、いずれこの会社を出る。
付き合うことは結婚を意味していて、秘書をやめることもできない。
自分は何のためにあの会社へ入ったの?業務部の仕事が向いているとスカウトされて、一大決心で入社した。
しかも、入ってみたら想像以上に仕事が自分に向いていたから楽しかった。