彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
 
 「何かあったのか?」

 はっと気付いて目の前の巧を見る。

 「……ごめん。ちょっと考え事」

 「菜摘。仕事の前に言っておきたいことがある。本部長のことだ」

 菜摘は驚いて彼を見た。
 
 「宣戦布告された。菜摘が好きだから、自分のものにすると言われた。もしかしてすでに本部長のものになったのか?」

 どうして、次から次とこう嫌なことが起きるのだろう。菜摘は泣きたくなった。
 
 自分は巧に返事もしないで好き勝手していた。よく考えなくても最低だ。

 目をつむり、意を決した菜摘は巧に話し出した。
 
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