彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
「菜摘。お前秘書一本になること、納得したのか?」
「……ううん。嫌だって言った」
「まあ、そうだろうな。俺はお前がうなずくとはどうしても思えなかった」
菜摘は巧を見た。
「だってそうだろ?この仕事を楽しいと言ってずっと働いている。結果も残した。正直秘書をやりたがっていないお前を目の前で見ている。いくら本部長でも説得できるのかと実はお手並み拝見だと思っていた」
「嫌だって言ったら……彼がものすごく怒ったの」
「え?」
「はっきり言うと、秘書より業務の仕事がしたいと言うようなことを口にしたら、ものすごく怒って、それ以降目も合わせてくれない……」