彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
 
 「……そうか。本部長は本気なんだな」

 「え?」

 「お前のこと。本気で好きなんだな。あの本部長が素になって怒るんだからお前は彼にとってそれだけ大事なんだろう。あの人なら頭がいいからいくらでも人を言いなりにできる。でも、お前には素でぶつかって怒る」

 「だって、別に付き合うことと仕事は関係ないでしょ?社内恋愛だろうと社外恋愛だろうと、側にいないのは普通だし……」

 「そう言ったんだろ?」

 「そう。そしたら、意味が違うとか言って怒りだして……もう、どうしたらいいか」

 「お前はどうなんだ?本部長のこと、そこまで好きじゃないんだろ?いくら頼まれても仕事は変えたくないんだろ?」

 そう言われると困る。どうして好きと仕事が同列になるのだろう?何が違うの?菜摘は答えず、黙りこくった。

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