彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
机に突っ伏して泣き出した彼女に、巧はびっくりして菜摘のとなりに座ると背中をさすってあげた。
「俺だってお前をこの仕事から外したくない。実は部長とも話した。内緒でやることじゃないからな。部長は知っていたよ。ただ、いくらお前が欲しいといっても本部長は聞く耳がなかったと言ってたよ。手遅れだとね」
「手遅れ……」
「お前を本部長秘書にしたことがこんなことになるとはと部長は後悔していた。お前が重宝されるのは少し考えたらわかったのにと苦笑いしていたよ」
「巧にも話せないことがあるの。本部長には色々ある。それも関係しているの」
「社長の親戚だっていうのは知ってるぞ」
「……それだけじゃない」
「そうなのか?」