彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
戻った俊樹は社長室へ寄った。
「俊樹、久しぶりだな。どうした?」
いとこの彼は気さくにソファーを指し示した。
座らせてもらう。
「春からのことですが、僕の担当部門に業務部をそのまま入れて頂けますか?」
「もう業務部のほうはいいんじゃなかったのか?」
「そうですね。本当は営業のほうをやるつもりでしたが、ちょっと事情があって。できれば担当役員にしてもらえませんか?」
「……まあ、まだ内定段階だから内定している役員に君を担当のままとすることを伝えて了承してもらえればだが……業務部は担当したいという役員が多いんだよ。会社の中枢だからね。説得に時間がかかる。理由を聞いていいか?」