彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode. 0】
 
 冷たい目で社長を俊樹は見る。そういう考え自体が自分と違いすぎるのだ。氷室家は父親も母一筋だ。浮気とか考えられない。

 だからこそ、相手にもその覚悟を求めるのだ。

 「とにかく、お願いします。そのつもりで行動しますので、あとでダメとかなしですよ」

 「わかったよ。社長権限でどうにかするよ」

 「じゃあ。忙しいところすみませんでした」

 ひらひらと手を振る社長を後に、俊樹は自分の部屋へ足を向けた。

 俊樹は本部長室へ帰ると、すぐに仕事に取りかかった。

 菜摘が何故いないのかわからなかったが、外出先の案件を先に片付ける必要があった。

 すると、ノックの音がして菜摘が入ってきた。
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