鬼の子
「・・・お前は、強いよな」
「私が、強い??」
予想外の言葉にびっくりして、思わず声が裏返りそうになる。
「嫌がらせされても、気にもしてないような顔してさ、なんで、そんなに強くいられんの?」
「・・・本当は凄く心が痛いけど、泣いたり悲しんだりしたら、自分に負けな気がしてさ。鬼の子に生まれてしまったのは変えられないから、受け入れようって、思ったの」
「受け入れる、か。深いな。その言葉」
そう言葉にした綱くんは、今まで見た事がない儚げな表情をしていて、心が騒ついた。そんな表情にも私の心は、惹きつけられてしまう。