鬼の子



     キス。



マスク越しにキスをされた。


そして、もう一度されるのではないかと思うほど、距離を詰めてくる。


「・・・ダ、ダメだよ!」

思わず大きな声で否定して、目の前にある、私より一回り以上大きな体を両手で思い切り突き飛ばした。

そして、不安が1つ襲ってくる。


「大丈夫?死んでない・・・・・?」




鬼王家の女児は呪われた鬼の子
呪われた鬼の子に接吻された者は死す



幼い頃から言われ続けた呪いの言葉が頭を(よぎ)る。私に突き飛ばされて、土の上で寝転ぶ綱君は微動だに動かない。


全身に恐怖と身震いがした。
どうしよう、綱くんを殺してしまったかもしれない。

どうしよう。どうしよう・・・・・。
怖くてたまらなくなった。

焦りまくりな私は、急いで駆け寄ると、無我夢中で肩を揺らした。
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