鬼の子
「ご、ごめんなさい。私、出ない方がいいよね」
「当たり前でしょ。早く違う人と変わって!」
私のせいで揉めているのを、見て見ぬふりは出来ず、言葉を伝えると、相手チームの生徒に食い気味に強い口調で返された。
やっぱり鬼の子の私は、出ない方がいいよね。
文句を言う人の言う通りだ。
「なんで?鬼王さんが引っ込む必要性ないから」
落ち込み諦めかけていた、私の前に立って言い放ったのは一ノ瀬さんだった。敵チームに負けず強い口調で言葉を発する。
「鬼の子なんていたら、近づけないし、ずるいでしょ!」
「はあ?そんなの、あんたらのクラスの都合じゃん?別に鬼王さんにディフェンスしてボール取ればいいでしょ?それをしないのは、あんたらなんだから、うちらは悪くない!」
一ノ瀬さんは敵チームにグイッと詰め寄るように、はっきりとした口調で言った。
そんな一ノ瀬さんの気迫に相手はたじろいでいた。「ちっ」と小さい舌打ちをするとその場から離れていった。