鬼の子

「ご、ごめんなさい。私、出ない方がいいよね」

「当たり前でしょ。早く違う人と変わって!」


私のせいで揉めているのを、見て見ぬふりは出来ず、言葉を伝えると、相手チームの生徒に食い気味に強い口調で返された。


やっぱり鬼の子の私は、出ない方がいいよね。
文句を言う人の言う通りだ。




「なんで?鬼王(きおう)さんが引っ込む必要性ないから」


落ち込み諦めかけていた、私の前に立って言い放ったのは一ノ瀬さんだった。敵チームに負けず強い口調で言葉を発する。


「鬼の子なんていたら、近づけないし、ずるいでしょ!」

「はあ?そんなの、あんたらのクラスの都合じゃん?別に鬼王さんにディフェンスしてボール取ればいいでしょ?それをしないのは、あんたらなんだから、うちらは悪くない!」

一ノ瀬さんは敵チームにグイッと詰め寄るように、はっきりとした口調で言った。

そんな一ノ瀬さんの気迫に相手はたじろいでいた。「ちっ」と小さい舌打ちをするとその場から離れていった。

< 124 / 246 >

この作品をシェア

pagetop