鬼の子
「ちょっと!今の絶対わざとでしょ?
鬼王さん、肩大丈夫?」
「・・・・・うん。ちょっと痛いくらい」
一ノ瀬さんが心配して駆け寄ってきてくれた。
「本当ごめんね?手が滑っちゃって・・・・・」
「・・・絶対わざとでしょ?!」
ニヤリと口元を緩めながら話す彼女を、一ノ瀬さんは睨みつけながら詰め寄る。
「・・・だ、大丈夫だから」
今にも喧嘩が始まりそうだったので、ズキンと痛むのを我慢して平気なフリをした。
わざとじゃないかもしれない。
・・・少しずれて当たってしまっただけだよね。
淡い期待と共に試合は再開されたが、その期待はすぐに砕け散る。