鬼の子
外に出ると肌に当たる風が冷たく感じる。
9月半ばになると、夕方は一段と冷える。やっと残暑が終わったかと思えば、もう一気に秋だ。
今日という1日は、経験したことのない夢のような時間だった。
みんなとスポーツが出来たこと。
たくさんの人に声援を送られ応援されたこと。
楽しすぎてあっという間に過ぎ去ってしまった。
そんなことを考えながら、光希と肩を並べて歩いていた。
隣から漂う空気がどんよりしてるように感じる。何かを考えるような顔をして、いつもの光希と様子が違かった。
どちらからも声を発することなく、無言の時間が続く。
気まずいのは嫌だったけれど、話しかけてはいけないような気がして、声を掛けられずにいた。
沈黙が続く中、先に口を開いたのは光希だった。