鬼の子
みんな、私に話しかけてくれてる?
クラスメイト全員から悪意のない視線が集まって、急に恥ずかしくなってきた。
恥ずかしい気持ちを乗り越えて、自分の気持ちを精一杯声に出す。
「きゅ、球技大会に、さ、参加させてくれてありがとう」
ガバッと頭を下げて、ドキドキと緊張で心臓がはち切れそうな中、自分の気持ちを伝えた。
頭を下げていると、反応がなくて不安に襲われた。
・・・私、また見当違いな事言ったかな?
おそるおそる顔を上げると、クラスメイトの笑顔が視界に飛び込んできた。
「勝てたのは鬼王さんのおかげだしね」
「お礼を言うのは、俺らっていうか・・・・・」
「なあ?」
「球技大会に参加してくれてありがとう」
「あと、謝りたい事あるっていうか・・・・・」
「その、今まで酷いことしてごめん」
頭を下げて謝るのは、いつもクラスの中心にいる目立つ男子生徒だった。率先して私にいじめをしていた人物でもある。
「私も嫌がらせをしてごめんなさい。
「俺、机に落書きした。ごめん」
「私は酷いことを、わざと聞こえるように言った。ごめんなさい」
教室のあちこちから、謝罪の言葉が聞こえてくる。こんなに謝られるとは思っていなかった私は、人付き合いに慣れていないコミュ障が発動して、挙動不審になる。