鬼の子
緊張と恥ずかしさが、限界を迎えようとした時、黙り込んでいた綱くんが、ようやく口開いた。
「なあ?もしかして、頭にツノ生えてる?」
予想外のことを聞かれたので、驚いてすぐに言葉を返せなかった。
・・・・なんで知ってるんだろう。
疑問符が頭の中に浮かびながら、考えていると、ある時の映像が頭の中で流れ出す。
あ、球技大会の時、頭をぐしゃっと撫でられた時にツノに触れたのかな・・・・・。
ツノは鬼の象徴。普段は見えないように髪の毛で隠せているけど、ツノがある事はまぎれようもない事実だ。
・・・なんだか、綱くんにはバレたくなかったなあ。気持ちが落胆するのがわかった。
ツノが生えていることで、もう嫌われたかもしれない。怖くてたまらなくなった。
・・・・綱くんに、嫌われたくない!
嫌われることには慣れていたはずなのに、綱くんには、嫌われたくないと思ってしまう。