鬼の子
高鳴る鼓動に胸がはち切れそうになっていると、予鈴のチャイムが鳴った。私を手助けするようなタイミングで鳴ってくれて、ほっと息をついた。
チャイムの音で、私の方に体を向けていた綱くんは、スッと前を向いた。
あのまま見つめられていたら、心臓が止まるかと思った・・・・・。
私は綱くんに触られた髪の毛を、自分の指でなぞる。途端にさっきまでの光景が頭に浮かんできて、恥ずかしさで顔が熱くなる。
1番後ろの席で良かった。恥ずかしさで真っ赤に染まった顔を、誰にも見られずにすんだから。