鬼の子
また明日も、明後日も、その次の日も、綱くんと話したい。今はそれだけで幸せだ。
好きな人がいるだけで、こんなにも毎日が色鮮やかになるなんて、知らなかった。
ずっと真っ黒だった私のキャンバスに、色彩が戻ってきたような感覚だった。
明日は、なにを話そう。
今度、遊びに行こうと誘ったら、きてくれるだろうか。
今までは明日のことを考えても、こんなに満ち足りた気持ちになることなんてなかった。
綱くんのことを考えると、こんなにも幸せであたたかい気持ちになれる。
この幸せがずっと続けばいいのに。胸の奥のあたたかさが恋しくて、そう願わずには居られなかった。
その儚い願いは叶うことなく散っていく。
———次の日から綱くんは学校に来なくなった。