鬼の子
14 病気という悪魔
「・・・・・ただいま」
浮かない声のまま玄関のドア開けると、お母さんの靴は玄関にあるのに、「お帰りなさい」いつも聞こえる優しい声が聞こえてこなかった。
顔を出してリビングを覗くと、リビングテーブルに頭を抱え込んでいるお母さんの姿があった。
「どうしたの?」
体調でも悪いのかと、心配になり小走りで駆け寄ると、顔を上げたお母さんの顔を見て驚いた。
あれ?お母さん、こんな疲れた顔してたっけ?
クマは酷く、頬はやつれたような気がする。
蔵に入り込んだ事件以降、気まずさを引きずったままだった私は、帰ってくるなり自分の部屋に籠ることが多かった。
ご飯は自分の部屋で食べ、お風呂とトイレ以外は自分の部屋に篭っていたので、ここ最近まともに話していなかった。
少し顔を合わせない間のお母さんの変貌に、戸惑いと何かあったのかと不安に襲われた。