鬼の子
家に帰ってきてからも、溢れてくる涙が止まることはなかった。
「・・・悪い。俺死ぬんだわ」
綱くんが言った言葉が重く心にのしかかる。その言葉と、儚げに笑う表情が目に焼きついて離れてはくれない。
私の人生は、人に嫌われて、いじめられ、虐げられる人生だった。
目的も分からない、先も見えない暗闇を、独りで歩き続ける人生だった。そんな私の元に綱君が現れて、私に光を見せてくれた。
泣いてからどれくらいの時間が過ぎたのだろう。
綱くんの顔が、次々と浮かんでくる。
もう、会えなくなるなんて、考えたくなかった。
初めて好きだと思えた人。
初めて愛しいと思えた人。
後戻りが出来ないくらい、どうしようもなく好きになっていた。
———この止まることを知らない涙が答えだ。