鬼の子
私の願いは、ただ一つ。綱くんに生きていて欲しい。
綱くんがいない人生なんて、生きたくない。私にとって大切でかけがえのない人なんだ。
私の心臓の鼓動は、ドクドクと早くなる。
新しく見つかった書物が本物なら、鬼の子の呪いで綱くんを助けられるかもしれない。
綱くんが死ぬなんて、
いやだ、絶対にいやだ。
生きて欲しい、そばにいて欲しい。
これからも、笑っていて欲しい。
私が鬼の子に生まれた理由は、この日のためだったのかもしれない。
痩せ細った手をギュッと握る。この手にどれだけ助けられてきただろう。今までの思い出が脳裏を駆け巡る。
———綱くんを死なせたくない。
痩せ細った身体、水分が不足してカサついた唇。
ゴクン、と息を呑むと、口元を覆っているマスクを外した。そして、綱くんの顔にゆっくり近づく。
眠っている彼に接吻を———、