鬼の子
びしょ濡れになって、泣きながら家に帰った。その姿を見たお母さんは、急いでふかふかのバスタオルを持ってきて、雨で濡れた私の髪と体を拭いてくれた。
とても驚いて心配していた。当然だろう、娘がわんわんと号泣しながら、びしょ濡れで帰ってきたのだから。
「・・・私、彼を助けたいのに、呪いが怖くて、出来なかった。助けられるかもしれないのに・・・。
でも、もし呪いで殺してしまったら、また私は一人になってしまう。好きな人を自らの手で殺すかもしれないなんて、怖くて哀しくて。・・・私には出来なかった」
泣きじゃくる私を、お母さんはギュッと抱きしめてくれた。びしょ濡れの私を、抱きしめたら自分も濡れてしまうのに、そんなことはお構いなしと言わんばかりに、ギュッと抱きしめてくれた。
「———っ?!」
うろたえて戸惑った。驚いて涙が一瞬止まる程だった。
———お母さんに抱きしめられてる?
その出来事に、驚かずにはいられなかった。
ここまで驚くには理由がある・・・・・・。