鬼の子
「・・・茜、ありがとう。俺の願いを聞いてくれて」
「・・・・綱くん、っありがとう、私と・・出会ってくれて」
「また、会えたなら・・・・」
「・・・・・・っ、うん」
「一緒に生きて行こう」
「・・・・・・っ、うんっ、」
「嫌がるほどキスするから、覚悟しとけよ」
「・・・・・・うん、っ・・・・・」
しばらくの間見つめ合うと、どちらからともなく近づいて、自然とまた抱きしめ合った。
好き、好き、大好き。
生きて、どうか生きて欲しい。
鬼の子に生まれて、私なんて生まれてこなければよかったのに・・・———。
と、何百回と思った。「この世に生まれてきてよかった」なんて、一度も思ったことはない。
鬼の子なんて、生まれてこなければよかったのに。
——— そう思う人生だった。
1度でいいから生まれてきてよかった、と思いたい。・・・・・・どうか、思わせてください。
綱くんを鬼の子の呪いで生かすことが出来たなら、初めて鬼の子で生まれて良かったと思えるかな・・・・・・。
綱くんが生きてくれるなら、何も望まない。
どうか、神様がいるなら、お願いします。
抱きしめた時のこの感覚も、この温もりも、
これで最後かもしれない。
そう思えば思うほど、離れられなかった。そんな私を後押しするように、私の瞳を真っ直ぐ見て囁いた。
「・・・・・・頼む」
頬を伝う一筋の涙と共に告げられた、その言葉の意味はすぐに分かった。
震える唇を、彼の唇へと近づけた・・・——。
「愛してる」