鬼の子







「ってことで、俺はお前の前の席に座るけどいいよな?」





「どうぞ。ご勝手に・・・・・」




可愛くない返事をしてしまったが、彼は口角をあげてフッと笑っていた。その笑顔に私の胸の奥がツンとする。





鬼の子扱いをせず、普通の人と同じ扱いをされたのは初めてで、心の底から嬉しかった。

 

私だけ離された空間にいるのが当たり前だと思っていた。でも今は、すぐ目の前には綱君が座っている。


その事実を目の当たりにして、目の奥が熱くなるのを感じ、グッと唇を噛み締めて力を込めた。こうでもしてないと、涙が出てきてしまいそうだったから・・・・・。



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