鬼の子




綱くんは圧倒的な美形な顔立ちなので、女子が放っておくはずがなかった。


休み時間になると、綱くんの席の周りは女の子が群がっていた。席が近い私は大変迷惑をしている。



「なんで引っ越してきたの?」
「どこの市からきたの?」
「彼女は?」
「好きなタイプは?」


ずっと質問攻めされ続けると、露骨に嫌な表情を顔に出して、重いため息をついた。


「・・・・・・うるせぇ」

その返事に「キャーキャー」と騒ぎながら話しかけていた女の子たちは気まずそうな顔をして固まっていた。

気まずい空気が流れる中、綱くんは気にもしない様子で平然としていた。女の子たちは落胆したような表情を浮かべて、彼の前からは離れていった。


す、凄いな。
モテる人だと騒がれても、こんな対応なのかな?


私が関わることのない人種だ。
まぁ、私は鬼の子だし、これからも永遠に関わることはないだろうなあ。


・・・この時は、そう思っていた。

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