鬼の子
「えっ?」
「えっ?」
私の顔が赤く染まるのを見て、何故か綱くんの顔も赤く染まっていった。
「・・・・・いや、可愛いっていうのは、
えっと、言葉のあやで・・・・・」
群がってくる女の子たちに素っ気ない態度をしていたので、勝手に女慣れしていると思っていた。
目の前の綱くんは、顔を真っ赤にしながら少し戸惑っている様子なのが意外で驚いた。
意外な一面が可愛らしくて、顔が自然とにやけてしまう。
「八重歯を鬼歯なんていう奴、初めてだな」
「・・・・昔から家族に鬼の子だから、鬼歯があるんだって言われ続けてきたから。八重歯っていう別名があるのも知らなかった・・・・・」
「友達とかに教えてもらわなかったのか?」
「友達なんて、出来たことないから・・・・・」
「は?なんで?」
「なんでって、・・・・・鬼の子だからだよ」
「そんなことで?!
そんなことで友達いねぇのかよ・・・・・」
そ、そんなこと?
鬼の子のことを"そんなこと"なんていう人は、この街にはいなかった。
そういえば、鬼の子だと聞いたのに普通に話しかけてくるな・・・・・。
怖くないのかな??
平然と私の前の席に座り、体を近づけて話しかけてくる綱くんは、私が鬼の子ということが気にならないのだろうか。
今まで避けられ続ける人生だった私は、彼の行動にうろたえてしまう。