鬼の子
「鬼の子のことを『そんなこと』って言ってくれてありがとう。そんな風に言ってくれたのは、(つな)くんだけだよ」


「もっと鬼っぽくツノとか生えてたりしたら、『おっ!鬼だ!』ってなるけどな」


少し悩んでるような顔をして綱くんは言った。



———数秒の沈黙が続く。



私の頭には小さな小さな角が生えている。ふわふわの髪の毛のおかげで、小さいツノが隠れて見えないだけだった。


このことを普通に伝えればいいのに、言葉が出てこなかった。

今のように普通の子と同じように接してもらいたい。ツノが生えていることを知ったら、もう話してもらえないかもしれない。


そんな考えが能裏を()ぎって言えずに動けなかった。


綱くんには拒絶されくない。
心のどこかで、そう思っていたんだ。
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