鬼の子
「どうした?」
心配そうな顔をしてひょこっと覗き込んできた綱くんと目が合った。
近くで見ても怖いくらい綺麗な顔をしていて、直視出来ない。思わず目を伏せた。
心配してくれているのに目を伏せて、感じ悪く思われたかな?
心配になり、ちらりと綱くんに視線を戻す。
目に飛び込んできたのは、切なそうに心配してくれている綱くんの表情だった。
そんな表情を見てしまったら、嘘はつきたくなくなるじゃん。
・・・ちゃんと、伝えよう、呪いのことも。
———意を決して口を開いた。
「言ってなかったけど、鬼の子の女児は呪われてて、私の唇に触れたら・・・・・死ぬの」
必死に絞り出した声は震えていた。反応が怖くてぎゅっと目を瞑る。
目を閉じて視界が真っ暗の中、
———数秒間の沈黙が続く。
やっぱり死ぬなんて聞いたら、恐ろしくて私となんて喋りたくないよね・・・・・。
この無言が彼の答えだと思った。
綱くんは私の事が嫌になり、離れて行ったんだ。まあ、当たり前だよね・・・・・・。
目を開け掛けた時、ガタッと椅子を引く音が耳に届いた。