鬼の子
「・・・なんだよ!お前、茜になにしたんだよ」
「・・・尻もちつかせた」
「はあ?・・・・んだと!お前!」
なんで、今そのこと言うの?
タイミングが悪すぎるし、綱くんの言葉が足りなすぎるせいで、誤解を招いている。
高圧的な口調で言葉を投げ捨てる光希は、今にも綱くんを殴ってしまいそうな、そんな勢いだった。
「・・・・いや!違うの!まず話を聞いて?ね?」
私が必死に宥めるとようやく落ち着いてきたのか、いつもの光希に戻っていた。
「あ、取り乱してごめん・・・・・。茜が泣いてる姿なんて初めて見たから焦ったっぽい」
気まずそうな表情をして目線を逸らした。
いつも冷静で穏やかな光希が、人を問い詰める姿は初めて見た。よっぽど焦っていたのだろう。
私が泣いている事に光希が何故ここまで驚いているのかというと、
———子供の頃の記憶に遡る。