鬼の子
「光希!何言ってんの?許嫁なわけないでしょ?
ふざけるのも良い加減にして!」
私がそう言うと、返事はせずにふいっと顔を逸らした。
「へぇ、鬼の子は誰も貰ってくれないんだ?」
「あたりまえだろ、鬼の子なんてみんな嫌がって・・・・あ、」
普段から言われ慣れてるのに、胸が突き刺されたように痛くなる。
いつもは言われ慣れている言葉なのに、光希に言われたことで心が傷ついたようだ。
「え、いや、茜!今のは・・・・・・」
「大丈夫だから!わかってるから。うん、わかってるから・・・・・」
うん、わかってる、
鬼の子なんだから。嫌われて当然。
自分に言い聞かせるように何度も唱えた。
「・・・・許婚じゃねぇなら、俺、こいつに興味あるわ」
「は?」
「え、」
綱くんは意地悪い笑顔でニヤリと微笑みながら言った。
シンと静まり返り気まずい空気が流れ出す。