鬼の子




「そうなの?理由あったんだ?」


様付けされていることに理由があることは知らなかったので、私も気になり会話に参加した。
すると、光希は立ち止まり私の目を見つめている。



「俺が男の鬼の子だから、様付けされたのが始まりだけど、様付けされるのに相応(ふさわ)しい人格になるように努力してるのは・・・・・(あかね)のためだよ」

「え?」

「茜が鬼の子の呪いのせいで、町の人から避けられたり嫌な事言われてるの知ってたから・・・・。
俺が同じ鬼の子として町の人に好かれてれば、そのうち茜も避けられなくなるかなって———」



恥ずかしいからなのか、私の目を見つめていた視線は、いつの間にか空を見上げている。
光希の顔が空と同じ夕焼け色に染まっていた。

< 59 / 246 >

この作品をシェア

pagetop