鬼の子
令和の鬼王の名は権力も地位もないけれど、鬼の血のおかげか、たまたまなのか運動神経は普通の人より少し良かった。

持久走を走っても、他の人より息が苦しくなるのが少し遅い。

でも、そのくらいで、飛び抜けているわけではなかった。



私は、金棒を振り回して暴れるわけでもないし、ツノと鬼歯があること以外は普通の人と変わりない。



"鬼の子"と呼ばれ、嫌われ蔑まれるのは、この町の人は皆知っている伝承のせいだった。


その伝承は、とてつもなく残酷なものだった。
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