鬼の子
光希の言葉になんて返していいのか分からず、黙り込んでいると、
「頑張って王子様キャラを作ってたってわけだ?」
「可笑しかったら、好きなだけ笑えよ」
「笑うわけないだろ。理由聞いちまったら、ただの良い奴じゃん」
「・・・って、さっきまで思いっきり笑ってただろうが!」
「あっ?バレてた?」
光希と綱くんがグチグチと言い合っていた。
言い合いしながらも、笑い合っていて、さっきまで歪み合っていた2人は、いつの間にか仲良くなった様子だ。
友達ってこういう風に出来ていくんだ。
へえ、と感心しながら2人を眺める。
友達か。羨ましいなあ。
友達がいない私は2人が羨ましくて眺めていた。
見入ってしまっていて、足が止まっていること気づかなかった。
「ほら!何やってんだよ。
ボーッとしてないで行くぞ?」
「茜!早くおいで!」
立ち止まっていた私に向かって投げかけられた言葉は、私の心に響いていく。
夕焼け空に照らされた2人から手招きをされている。嬉しくなり小走りで駆け寄った。
綺麗な夕焼け空に照らされて「なんか、ドラマのワンシーンみたい」そんな考えが能裏を駆け巡った。
そのドラマのワンシーンに自分も参加出来ることが嬉しくて、笑みが溢れ出した。