鬼の子
そんな歩きずらい道でも、男2人はズカズカと歩いて行く。私はそんな2人の後を、暗闇の中追いかけるのに必死だった。自分の家の敷地内だとしても、暗闇に取り残されるのは怖い。
「茜?大丈夫か?」
優しい声で聞いてくれたのは光希だった。
私が少し遅れてるのを見て、少し先で足を止めてくれているようだ。
「ご、ごめん。今行く・・・・・」
私は急いで足を進めようとした。
慌ててしまったため、足が取られて体のバランスが崩れた。
あ、危なかった。
なんとか、自分で立て直し転ばずには済んだ。
「気をつけなよ?」
私を心配して駆け寄ってきた光希は、側でみててくれている。
「・・・大丈夫だよ」
本当は歩きづらくて怖いけど・・・・
そんなことを言えるはずもない。
整備されていない道は歩きづらかったけど、強がって大丈夫なフリをした。怖いと伝えたところで、鬼の子の私は手を繋いでもらえないからだ。
普通の女の子なら、素直に「怖い!手を繋いで!」って言えたりするのかな?
そんな、願っても叶うはずのない妄想を浮かべた。
心配かけないように歩き出そうとすると、スッと手を差し出された。
「え?」
「お前、え?じゃねェよ。
差し出されたら、黙って掴めよ。手出したまま
ずっと待ってんの恥ずいだろうが!」
グチグチと文句を言いながら、手を差し出してくれたのは綱くんだった。