鬼の子
歩くスピードはゆっくりになり、綱くんは私の歩くスピードに合わせてくれているみたいだった。
「暗闇で歩くの怖いなら言えよ。
自分家の敷地内だから、余裕だと思ってた」
面倒そうな声でボソッと呟いた。その言葉の中に優しさが見え隠れしているように感じる。
「自分の家の敷地内だけど、蔵には何年も来てないから、この道もずっと歩いてないんだよ。
真っ暗で足の踏み場が分からなくて、歩きづらくて・・・・・」
「大丈夫」とでも言うように、握っている手をぎゅっ、と強く握ってくれた。
私は浮き立つ心を鎮めるのに必死だった。